UPDATE 2015/11/17
特集
酒と肴と風土(日本酒あれこれ)
酒と肴と風土(その一)では、日本の酒と肴の美味しさの理由を「食の冒険家」小泉武夫さんに伺いました。ここでは、日本酒の基礎知識をご紹介♪
◆日本酒と焼酎はどう違う?
日本酒は、原料の米と水を麹菌や酵母によってアルコール発酵させて搾った「醸造酒」。醸造酒に熱を加え、沸騰して蒸発した気体を冷やして抽出するとアルコール度数の高い「蒸留酒」になります。焼酎や泡盛は、この蒸留酒。ちなみに、ブドウの醸造酒はワイン、蒸留酒はブランデーです。
◆どんな米を使っている?
日本酒の原料には、普段私たちが食べているお米とは異なる「酒米(酒造好適米)」が使われます。一般に米粒が大きく、米の中心のデンプン質からなる「心白」と呼ばれる部分を削り出すための精米がしやすいもの。熟成した仕上がりに強い「山田錦」や、フルーティな仕上がりに強い「五百万石」などさまざまです。
◆『吟醸』って何?
吟醸は原料の米の精米度合を高め、雑味となりやすい心白の周りを除いた米で仕込んだ酒。原料米を50%以下まで削ったものが大吟醸、60%以下に削ったものが吟醸です。削った時に出る粉は表層側は赤糠、芯に近いほうは白糠となり、米糠や煎餅の材料などとして使われます。
◆日本酒の酒蔵はいくつある?
2012年版酒蔵名鑑によると、日本酒を製造している全国の酒蔵の数は、12年5月末で1614蔵。1970年頃には3000以上の蔵がありましたが、近年の日本酒の消費不振により、07年には1807蔵、09年には1709蔵と徐々に減少しています。
◆冷酒と熱燗にいい季節はある?
江戸前期の『三養雑記』などには、9月9日の菊の節句から翌年3月3日の桃の節句まで燗をしたことが記されていて、昔は冬に体が暖まるように、冬季に燗をしていたようです。今は季節だけでなく、日本酒のタイプや肴に合わせて楽しまれています。
(会報『自然保護』2013年9・10月号 特集「酒と肴と風土」より転載)