日本自然保護協会(NACS-J)が提供する、暮らしをワンランクアップさせる生物多様性の世界

しぜんもん


UPDATE 2015/07/08

観察

今日からはじめる自然観察

砂浜には生きものがいっぱい!! 海に遊びに行って夏休みの自由研究をしよう! 

砂浜の生きものを探そう!

砂浜で遊んだことがありますか?
夏には暑くて足をやけどしそうになり、 砂浜には生きものがあまりいないように感じる人も多いでしょう。
冬は冷たく、一日の内でも温度差が大きい環境ですから、生きものにとってはとても大変なところです。
また、砂浜には波が寄せてきて、砂を常に引っかき回しています。
砂浜は、潮の満ち引きで海水にいつも浸かっている部分と、そうでない部分があります。
実は、その両方に多くの生きものがすんでいます。

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(写真:大橋信彦)

実は豊かな砂浜の生態系

では、どんな生きものがすんでいるのでしょうか? 砂浜を手で掘ると海水が出てきます。この海水を濾してみると、その中には顕微鏡で見ないと見えないほど小さな生きものがびっくりするほどたくさんいるのですが、ここでは目で見えるものだけを考えましょう。

砂浜の斜面の上の方には、陸の生きものが主にすんでいます。とくに塩分に耐性のある特徴的な海浜植物と言われる植物が、このあたりに生えています。ハマゴウ、コウボウムギ、ハマエンドウなどです。また、そのあたりには、浜辺に特徴的な昆虫類もすんでいます。

一方、砂浜の斜面の下の方で、波が寄せたり引いたりしているところをよく見ると、三角形をした二枚貝(ナミノコガイやフジノハナガイ)が、波に乗ってコロコロと転がり、波が引くと砂浜に潜り込むのが見えるでしょう。大潮の時に海水が引いてしまった砂浜では、砂の上を這っているホタルガイやツメタガイの仲間、ときには大型の巻貝も見つけることができます。

砂浜の中央付近で見つけることができるのはスナガニの仲間です。昼間は砂浜に巣穴が空いているのが見えるばかりですが、早朝や夕方、夜になると出てきて砂浜を走り回っているのが観察できるでしょう。砂も掘ってみると、カニの仲間やスナホリムシ類などがすんでいることがあります。

 

海と陸をつなぐ砂浜

(↓クリックすると拡大します)

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砂が見える場所だけではなく、海水が引いたところから海浜植物が生えているところも含めて、ひとつながりの砂浜の環境です。でも、最近の砂浜はコンクリート護岸ができてしまって、海浜植物が生える場所がなくなっていることが多いのです。海岸は陸と海の境目にあり、陸の生態系と海の生態系の両方の性質を持っています。

このようなふたつの生態系の境目のことをエコトーン(移行帯)と呼びます。エコトーンではふたつの生態系の特徴が複雑な生息場所をつくり、陸と海それぞれの生きものがすんでいるので、多様性が高いことが知られています。この特徴は、陸と海のつながりでできているのです。そこをコンクリートで固めると、陸と海のつながりはなくなってしまいます。自然の海岸の環境を守ることが、人間の環境を守ることにもつながります。

(向井 宏/海の生き物を守る会代表)

砂浜で見つかる植物

砂丘を育てる海浜植物

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海浜植物は、砂丘をつくる役割を持っています。砂浜の微地形や微小な環境条件と植物の生え方はよく対応しています。強風が吹くと砂粒が地面から剥がれて飛砂(ひさ)となります。強風で地表すれすれに飛んできた砂は、植物の葉にあたると、その根元に落ちて堆積していきます。

海浜植物の多くは、地上部が強風で飛んできた砂に埋もれたら、振り払うようにまた葉を出して上へと伸びていきます。一方、地下部は長い地下茎を横に這わせたり、細かい網状の根を地表から数メートルの深さまで伸ばしたりしています。砂にしっかりと定着し、乾燥した砂浜でのわずかな水分を吸収するためです。

こうして、砂浜に一度植物が定着すると、上へ上へと砂丘が成長していきます。まさに砂丘は、植物と砂と風の合作の地形です。

砂浜のお花畑の主役・ハマヒルガオ

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砂浜の初夏の花といえば、ハマヒルガオ。砂浜の植物が生える最前線で、ふかふかした砂に根を張り、初夏にピンクのかわいい花をつけます。葉の表面は、ろう状の物質ができたクチクラ層に覆われ固くなっており、乾燥から守られています。
ハマヒルガオは、波をかぶらない場所に風で砂が吹き寄せられたまってくるとすぐに生育してくるため、環境条件の移り変わりが激しい砂浜にあって、植物が生育可能な環境になったという指標になります。

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北の海岸を彩るハマナス

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ハマナスの鮮やかな紅色の花は、北の海岸の夏の象徴です。ハマヒルガオのような海岸の草が生えている場所より少し陸側に生育するバラ科の低木です。その赤く色づいた実は、ジャムやお茶などに使われます。また東北には、実を数珠のようにつないでお盆のお供え物にする習慣があります。
日本の海岸の半分以上が人工物に覆われており、波打ち際から海岸林までの連続した生態系を見ることが難しくなっています。自然にハマナスが生えている場所は、波しぶきが直接当たったり、海水で浸水することもほとんどない比較的安定した場所です。そこは護岸や堤防がつくられてきたゾーンでもあります。つまり自生のハマナスが繁茂している海岸は、比較的自然が残っているといえるでしょう。

 清野聡子(九州大学大学院工学研究院准教授)

砂浜のフィールドサイン

一見、動物の気配がしない砂浜でも、穴や足跡など、動物が残した痕跡を探してみましょう!(↓写真をクリックすると拡大します)

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左:スナガニ(甲羅の幅約2~3cm)、右:ハマトビムシ(体長約1cm)

 

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 田中雄二(NPO法人表浜ネットワーク)

自然しらべ2015 砂浜ビンゴ 参加者募集!!

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日本自然保護協会では、「みんなで見ればみえてくる」という合い言葉で、毎年、夏休みの期間に全国の皆さんと日本の自然の健康診断「自然しらべ」を行っています。

今年のテーマは“砂浜”。

日本は、小さな島国ですが、海岸線の長さは堂々の世界第6位。世界有数の“海岸線大国”です。海岸線の自然は重要な財産……のはずですが、ずいぶんと改変されてきています。そうした海の自然の実態を知りたくても、海の調査は陸に比べて遅れがち。そのために海の自然保護は陸に比べて大きく遅れています。
例えば、日本自然保護協会が2004年から2007年の4年間にわたってみんなで調べた「市民参加の海岸植物群落調査」でも、人工物がない浜は12%しかなく、海岸独自の環境が失われている現状が報告されています。それから約10年、今の砂浜はどうなっているのでしょうか。

今は世界遺産になっている白神山地や知床にもかつては森の伐採計画がありました。日本自然保護協会は、森という自然の大切さを全国の会員の皆さんと観察や調査をしながら見つけてきました。

森の自然保護のように、海の自然保護も進めたい。そう考えて、今年の自然しらべのテーマを砂浜に選びました。

全国の皆さんと一緒に調べれば、日本の砂浜の現状が見えてくるはず。

>>>「自然しらべ2015 砂浜ビンゴ」のウェブサイトはこちら

 

調査方法は簡単!!  子どもと一緒に「砂浜ビンゴ」で調べよう

調査といっても、調べ方はとっても簡単。砂浜で生きものを探して「ビンゴシート」にチェック&写真をとって送るだけ。

子どもでも簡単に調べられる自然環境調査なので、夏休みの自由研究にもピッタリです!

ぜひ、今年の夏休み、海に遊びに行って、「砂浜ビンゴ」に挑戦してみてください!

★ビンゴシートの入手や、参加の仕方の詳細は、自然しらべ2015 砂浜ビンゴ(ビンゴシートと楽しみ方(しらべ方)) ページをご覧ください。

★「自然しらべ2015 砂浜ビンゴ」関連イベント 海岸エコトーンを感じよう ~夏休み砂浜教室~イベントはこちら

7月11日(土)柏崎中央海岸(新潟県柏崎市)
7月12日(日)材木座海岸(神奈川県鎌倉市)
7月20日(祝・月)国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

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